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日常のいろいろ。

虹の終わり

8月半ばの「AKINORI NAKAGAWA's THE WIZ」があまりにもすてきだったので、「オズの魔法使い」熱が高まってしかたありません。
「THE WIZ」のDVDをAmazonで取り寄せて鑑賞し、「オズの魔法使い」原作を読みました。どちらもすばらしい。
ちなみにいま、『THE WIZ』のスクリプトを読んでいるところです、原語だから読めてないけど(笑)


そして先日、青山DDDクロスシアターで『END OF THE RAINBOW』を観てまいりました。
主役は、映画「オズの魔法使」で主演を務めたジュディ・ガーランド(演じるのは彩吹真央
さん)。華やかで可愛らしい容姿と類まれなる演技の才能で世界中を魅了した大スター。彼女の5人目のフィアンセと彼女のピアニストを交えて、彼女の半生を描いた作品。

なんとも大人な空間でした。
愛とは、名声とは、望むとは、感じるとは、なにかを考えさせる芝居でした。

まず、ジュディ・ガーランドがあんなに激しい人だったとは思っていなかったので、そこで驚きました。
当時のハリウッドではスターを働かせつづける手段として、薬がわりと普通に使われていたようで、ジュディとて例外ではなかった。
そして彼女の場合は、子役時代からそれが続いていたというような衝撃的な台詞。
子どものように薬と酒を求めるジュディ。
いやぁ、もうね…つらかった。

青山DDDシアター、200席くらいなのでマイクは使っていないであろう役者の声がすてきでした。
それだけでなんとも濃密で貴重な空間。
小西さんは、怖いくらいに良い声の持ち主。美声なのはよく知っていたけれど、マイクを通さず狭い空間で聴くと、また違った魅力がある。くらくらするような甘くてスモーキーな声。微かな響きの違いに色気が滲み出ていました。そしてよく通る声。
アンソニー、鈴木壮麻さん。最初のイメージはぶっきらぼう。それがイギリス人っぽいイメージ。でも、シーンによっては感情が滲むようなどうしようもなく生々しい表現もあって、それがアンソニーらしいと感じました。深みのある声がすてきでした。
彩吹さんは華やかな中にも影がある。とても難しい役としっかり対話して、演じられていたのが印象的です。

観て考えたこと。
ジュディ・ガーランドってきっととてつもなく魅力的だったんだろうなぁ。
大抵の男性がキスしたくなるくらい。
でも、ジュディ自身も知らなかったけど、彼女のほしいものはキスではなくて、もしかしたら、ただひとりの確かな存在から、ありのままを抱きしめられることだったのかも。
ミッキーは確かな存在だけど、ありのままを抱きとめることができない。
アンソニーはありのままを抱きとめられる人だけど、ジュディにとっては確かなひとりではない。
うまくいかないなぁ…

最後のショーで小西さんと壮麻さんの「雨に唄えば」が聞けたのがうれしかった。

当日券にチャレンジしてよかったです!
また違うキャストでも観てみたい味わい深い作品でした。